当センター共催「ウトロ地区ヘイトクライム裁判」京都地裁判決後シンポジウムを開催しました
2022年9月4日(日)、当センター共催で「ウトロ地区ヘイトクライム裁判」京都地裁判決後シンポジウム「ウトロ放火事件から見る社会からの『排除と孤立』」を開催しました(ZoomウェビナーによるLIVE配信)。
本シンポジウムでは、当センター・金尚均ヘイトクライムユニット長(本学法学部教授)らが登壇し、事件と裁判の経過報告、地裁判決の内容と評価、ヘイトクライムにおける量刑、ウトロ事件から見る排外思潮、院内報告ほか、ウトロ平和祈念館の意義について報告されました。
概要は下記の通りです。
なお、シンポジウムの様子は、後日アーカイブ配信される予定です。
詳細につきましては、本シンポジウム主催の「京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会」ホームページをご覧ください。
【シンポジウム概要】
2022 年 8 月 30 日、京都地裁は、京都ウトロ地区での非現住建造物放火、建造物損壊そして器物損壊の罪について、被告人に懲役 4 年の判決を言い渡した。
2021 年 8 月 30 日在日韓国・朝鮮人にとって苦難を乗り越えてきた歴史の象徴であるウトロ地区を 20 代の男が放火し、7 棟が全焼した。この放火により、地区の歴史と地域を守るための共生のための交流を伝える貴重な遺産が消失した。
ウトロ地区は戦時中、戦争遂行のために国策で飛行場建設が行われ、そのために朝鮮から多くの労働者が動員された。ウトロが朝鮮人の集住地区になったのは、日本に労働動員された朝鮮人が、当事者の運営会社から居住することを命ぜられたのであった。当然、戦後も行くところもお金もなく住み続けざるを得なかった住民は、日本政府から無視され続け、社会から孤立を強いられた。
住民への何らの告知もなくウトロ一帯の土地が転売され、住民たちは新たな地権者から不法占拠と見なされ、立ち退きを要求された。裁判では敗訴し、土地を明け渡さなければならなくなった。この窮状を知った日本や韓国の市民をはじめ国内外の人々からの支援により、土地の一部を購入することができ、その土地に公的住宅が建設された。
本裁判で被告人は最終陳述で「私のように差別、ヘイトクライムの感情を抱いている人は至る所にいる。今後も同様の事件、さらに凶悪な事件さえも起こる」と言っている。彼は、ネット上でのフェイクニュースに乗せられて、誤った被害感情を抱き、誤った正義感基づいて放火、ヘイトクライムを行った。